日本語学
日本語教育
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4 2023 - PresentCenter for Japanese Language Education(Organization for Global Initiatives) Adjunct Lecturer
以下、詳細は【研究者のみ公開】にしてあります。(ログインのうえ、ご覧ください)
【研究】
専門:日本語学(語構成論・語彙論)
新しい語がどのように形成されるのか(語形成論・造語論)、品詞でいうと名詞(複合名詞・派生名詞)に関心があります。
特に、一般的な規則を逸脱する特異な語形成に関心があり、語形成と逸脱性の関係について研究をしています。
具体的には、次のような言語表現(複合名詞・派生名詞の前項が文相当の要素であるもの)を研究対象としています。
みなさんも一度は目にしたり、耳にしたりしたことがあるのではないでしょうか。
私は最近、テレビやYouTubeを見ていたり、電車の中で中吊り広告などを見たり、誰かとお話ししていたりすると、頻繁にこのような表現に遭遇します。
「振り込め詐欺」「母さん助けて詐欺」(警視庁)
「やってみなはれ精神」(サントリーホールディングス株式会社・企業理念)
「ウルトラ!ゼンリョク!幻のポケモンをもらおうキャンペーン」(株式会社ポケモン)
「ドコモ東京2020オリンピック応援に行こう!キャンペーン」(株式会社NTTドコモ)
「NHKたぶんこうだったんじゃないか劇場」「NHKきっとこんな感じなんじゃないか劇場」「NHKつまりこういうことなんだ劇場」(NHK『チコちゃんに叱られる!』)
「「降りろ」コール」(フジテレビ『めざましテレビ』)
「バカヤロウ解散」(吉田茂首相の衆議院解散の俗称)
「いいねボタン」(FacebookなどのSNS上で用いられる好感・共感を示す機能)
上記の他にも「困ったな状態」「早く帰れオーラ」「どっちなんだよ問題」「あったらいいな程度」「今すぐ辞めろ発言」「当たって砕けろ作戦」「遊んで遊んで攻撃」「俺すごいだろアピール」「やっちまったな感」「私頑張ってます風」「かまってちゃん」など種々の用例が観察されます。
「句の包摂」の延長上にある「文の包摂」とも言うべき当該の言語現象について研究を進めています。
述べ切られているわけではありませんし、語構成要素になっているので、厳密に言えば「文」ではありませんが、便宜的に「”文”の包摂」と呼んでいます。
これまでは現代日本語を研究の対象としていましたが、最近は通時的な観点からも「文の包摂」現象を分析したいと考えております。
例えば、「内にもご覧ぜさせよ顔」(今昔物語集)のような用例があり、これも現代語の「文の包摂」に通ずるものではないかと考え、研究を進めております。
現代語「おいてけぼり」の語源である「置いてけ堀」は、江戸時代から本所にある池の名前です。その池で釣った魚を持って帰ろうとすると、「置いてけ~置いてけ~」という声が聞こえてきたこと(本所七不思議)に由来してこのような名前がついたそうです。これも一種の「文の包摂」ではないかと思われます。
さらに、通言語的に見ると、英語には、I don’t know face, Save-the-WHALES campaign, 'We love Anne DIAMOND' partyのように、日本語の「文の包摂」に類する現象も見られます。英語以外の外国語ではまだ実例が見つけられていませんが、もしかすると、言語によってはこのような逸脱的な造語が可能なのかもしれません。
現代語・古典語・外国語を問わず、もしこのような「文の包摂」と思われる用例が見つかりましたら、ご一報いただけますと幸いです。
これまでは主に「打ち言葉」における実例収集を中心に行っていましたが、最近は会話データなどの「話し言葉」でも実例を集めています。会話の中ではどのように「文の包摂」が作られ、用いられているのか興味があります。
相互行為言語学にも興味があり、相互行為の中でこうした言語表現がどのように生まれ、使われ、そして消えていくのかについても研究をしたいと考えています。
また、何かお気づきの点、疑問点、ご意見などございましたらご教示のほど、宜しくお願い申し上げます。
メールアドレスは【研究者のみ公開】にしております。
上述の研究以外にも、日本語教育における文法や語彙に関する研究にも関心があります。
特に、コーパスを使用した文法・語彙の研究を行っています。
【教育】
以下の分野の教育に関心があります。
・学部生/大学院生対象「日本語学」「国語学」「言語学」関連科目の教育
・ビジネス日本語/ビジネスコミュニケーションに関する教育(日本語母語話者・日本語非母語話者対象)
・初年次教育(アカデミックスキル関連)
・日本語母語話者の学生に対する留学支援/国際交流支援/国際共修/異文化間教育
・就職活動支援
【その他】
生まれも育ちも仙台です。
大学で留学するまで一度も日本から出たことがありませんでした。
海外への興味から、学部4年間のうち、2年生から4年生までは交換留学をしました。
アメリカのカリフォルニア大学、タイのチュラロンコン大学、台湾の東呉大学では、英語、タイ語、中国語を学びました。
言語を学ぶのはとても苦労しましたが、学べば学ぶほど、日本語と共通する点、異なる点に気づくようになりました。
同時に、日本語を学ぶ現地の学生との交流を通して、普段当たり前に使っている母語の「日本語」なのに、その仕組みをうまく説明できないと気づきました。
そのときから、日本語学・日本語教育の世界に興味を持ち、学部卒業後は企業で勤務するかたわら独学で勉強し、大学院に入学しました。
学生の頃は自分が将来、ことばに関する研究や教育に携わることになるとはゆめにも思いませんでしたが、いまはことばに関わる仕事ができて毎日がとても楽しいです。