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子ども・若者支援従事者の専門性構築の課題と展望─「支援の重層性」の視点から─
日本学術振興会
科学研究費助成事業
生田 周二, 井上 大樹, 宮崎 隆志, 上野 景三, 石井山 竜平, 帆足 哲哉, 立柳 聡, 深作 拓郎, 水野 篤夫, 中田 周作, 津富 宏, 川野 麻衣子, 大串 隆吉, 南出 吉祥, 大村 恵, 藤田 美佳
2022年4月
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2026年3月
課題番号:22H00966
配分額:17160000円
(
直接経費:13200000円
、
間接経費:3960000円
)
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両親対象の妊娠期から産後まで切れ目ない育児プログラムのオンライン実施と介入効果
日本学術振興会
科学研究費助成事業
石井 佳世子, 後藤 あや, 吉田 和樹, 津富 宏, 佐々木 美恵, 渡邉 一代
2021年4月
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2025年3月
課題番号:21K10884
配分額:3120000円
(
直接経費:2400000円
、
間接経費:720000円
)
本研究は、両親を対象とした妊娠期から産後までの切れ目ない育児支援プログラムをオンラインで実施し、対照群を設けることにより、産前産後の育児支援プログラムの介入効果を確認することを目的としている。令和3年度は前回の研究時にも協力をいただいた育児支援団体へ、前年度に作成したプログラム冊子を配布し、引き続き研究に参加してもらえるように協力依頼を行った。
また、今回の研究が2年目に遂行できるように、倫理申請を行い、承認されたところである。
さらに、前回の関連研究において、論文作成を2つ行った。1つ目は看護大学生を対象にした共感性を高める育児支援プログラムの効果を検討した。大学1年生、2年生に対して、本プログラムを講義に組み込みながら実施し、実施前後のアンケートを用いて効果を比較検討した。その結果、1、2年生共にプログラム終了後に共感性尺度の下位尺度に上昇がみられた。また、共感性プログラムを中心に行った1年生では共感性尺度平均点が有意に上昇し、生と性の健康教室の一貫でプログラムが実施された2年生では、出産の自信と妊娠計画への自信の上昇がみられた。リプロダクティブヘルスに関心の高い時期である大学生に対してライフプランを考えるきっかけとなる本プログラムには効果があることが示唆された。
2つ目は対象者(育児支援団体、赤ちゃん訪問地域ボランティア、妊娠中の夫婦、看護大学生)に合わせてプログラム内容を改変し、育児支援研修や親準備教室として実施し、参加者自由記載内容のテキスト解析を行った。その結果、参加グループによって、自由記載割合や時間配分への評価に違いがみられたが、多くのアンケート項目の評価は概ね良好であり、各グループの特徴にあった意見がみられた。一つのプログラムを多くの対象者に合わせて改変し、実施することにより、地域ぐるみの一貫した育児支援につながると考えられた。本結果は現在投稿中である。
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国際自己申告非行調査ISRD4を通じた日本の非行の実態把握と比較犯罪学の試み
日本学術振興会
科学研究費助成事業
津島 昌弘, 久保田 真功, 作田 誠一郎, 岡邊 健, 津富 宏, 上田 光明
2021年4月
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2024年3月
課題番号:21H00785
配分額:14040000円
(
直接経費:10800000円
、
間接経費:3240000円
)
コロナ感染の収束後を見据えて、当該年度初頭からISRD4の調査票(英語版の集合調査用とWeb調査用)の翻訳作業に着手してきた。ほぼ毎月1回の頻度で研究会を開催して作業を進め、年度内(2022年3月)に作業を終えることができた。
また、定期的に実施されるISRD本部主催のオンラインミーディングに毎回参加して情報収集している。
その他、主な研究実績は前回調査(ISRD3)のデータファイルをもとにした分析結果の報告である。日本犯罪社会学会(2021年10月)やアジア犯罪学会(2021年6月)など国内外の学会報告、『罪と罰』(2021年6月)や『犯罪社会学研究』(2021年10月)など学術論文を通じて、成果を公表した。また、龍谷大学犯罪学研究センターHPの「ISRD JAPANプロジェクト」(https://crimrc.ryukoku.ac.jp/isrd-japan/)のサイトでの、『国際自己申告非行調査(ISRD)研究報告書――2019年度実施調査の概要と基礎的分析』のアップロードに続いて、基礎的分析レポート(ワーキングペーパーシリーズ)を開設して、テーマごとの分析結果3本を追加し、研究成果について広く情報発信をおこなった。
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コミュニティ・オーガナイジングの理論と実践に関する基礎研究
日本学術振興会
科学研究費助成事業
室田 信一, 石神 圭子, 津富 宏, 篠田 徹, 藤井 敦史, 藤井 博志, 小田川 華子, 渡辺 裕一, 山崎 憲, 竹端 寛, 清水 潤子, 林 大介
2019年4月
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2023年3月
課題番号:19H01589
配分額:15080000円
(
直接経費:11600000円
、
間接経費:3480000円
)
2020年度は前年度の蓄積を参考に、コミュニティ・オーガナイジングの基盤となる考え方の整理を、内部の研究会と公開研究会を通して深めた。本研究で計画されている調査研究の方法として、当初予定冴えれていた社協や労働組合を対象とした実態把握の量的調査ではなく、当該分野でCOの実践をしてきた先駆者などへのインタビュー及び研究会での報告を通して、その分野のCOの実践について研究することが研究会の議論を経て決まった。2020年度の実績は次のように整理できる。
1)研究代表者の室田による報告(コミュニティ・オーガナイジングとは何か)を通して、研究分担者及び研究協力者の考えるコミュニティ・オーガナイジングについて報告を行い、今後の研究の基盤となるコミュニティ・オーガナイジングの概念の整理を行なった。
2)アメリカでコミュニティ・オーガナイジングを推進する最も著名な団体であるIAFのシニア・アドバイザーのMichael Gecan氏による公開研究会を開催して、アメリカにおけるオーガナイジング、特にパワー・オーガナイジングについて理解を深めた。
3)北海道大学教授の吉田徹氏を研究会のゲストとしてお迎えして、リベラリズムとコミュニティ・オーガナイジングの関係について議論を深めた。
4)立教大学教授の藤井敦史氏を研究会のゲストとしてお迎えして、イギリスのコミュニティ・オーガナイジングの実践についてCitizen's UKの事例を中心に学び、議論を深めた。
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子ども・若者支援における専門性の構築─「社会教育的支援」の比較研究を踏まえて─
日本学術振興会
科学研究費助成事業
生田 周二, 井上 大樹, 宮崎 隆志, 上野 景三, 石井山 竜平, 帆足 哲哉, 立柳 聡, 深作 拓郎, 中田 周作, 津富 宏, 川野 麻衣子, 大串 隆吉, 南出 吉祥, 大村 恵, 藤田 美佳
2018年4月
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2022年3月
課題番号:18H00978
配分額:16770000円
(
直接経費:12900000円
、
間接経費:3870000円
)
本研究期間は、研究プロジェクトの第2ステップ「研究課題の具体化」と位置づけ、4領域(原理・比較、支援論・方法論、子ども、若者)に分かれてユニバーサル支援、ターゲット支援の両面から研究を進め、試行的な教材等を作成した。
原理・比較研究では日独シンポジウム(2021年)を開催し、「社会教育的支援」と専門性のあり方を深めた。支援論・方法論研究では『子ども・若者支援専門職養成ガイドブック─共通基礎─』を作成した。子ども領域では「子ども支援の専門性と力量形成の社会教育的側面―子ども支援施設・団体調査報告―」を執筆し、若者領域ではこれまでの研修活動を踏まえ『ユースワーカー・ハンドブック2』などを作成した。
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育児支援団体の特性に応じてカスタマイズ可能な介入プログラムの開発
日本学術振興会
科学研究費助成事業
石井 佳世子, 後藤 あや, 太田 操, 柴田 俊一, 津富 宏, 佐々木 美恵, 渡邉 一代
2017年4月
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2021年3月
課題番号:17K12297
配分額:4680000円
(
直接経費:3600000円
、
間接経費:1080000円
)
本研究は、各育児支援団体が支援を行う際に抱えている課題を明らかにし、育児支援団体と協働して妊娠期からの育児支援プログラムを開発し、育児支援団体が自らの支援の質を高めることを目的とした。
初めに、育児支援団体の研究協力依頼を行い、5つの支援団体から協力が得られた。現在の支援方法の困りごとや今後の希望をヒアリングし、プログラム実施における課題について話し合った。協力団体の支援実施者に研修会を実施した後、本プログラムを実施してもらえるように依頼した。
その後、実施団体でグループ会議を開き、実施時の感想や改善点について話し合い、その意見を基に、プログラムのマニュアル冊子を作成した。
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若者期の生活保障の構築に向けた国際比較研究~社会的に排除される若者層を中心に~
日本学術振興会
科学研究費助成事業
宮本 みち子, 野村 武司, 宮本 太郎, 濱田 江里子, 津富 宏, 藤井 敦史, 布川 日佐史, 樋口 明彦, 佐藤 洋作, 青砥 恭, 西岡 正次, 白水 崇真子, 岩本 真実, 関口 昌幸
2014年4月
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2019年3月
課題番号:26285115
配分額:15600000円
(
直接経費:12000000円
、
間接経費:3600000円
)
困難な状況にある若者を対象とする行政施策と支援現場の実態調査から、若者施策が若者の生活保障として有効かどうかを検討した。その結果①若者の責任は親にあるという前提(親頼み)②若者問題の私事化③支援の対象から漏れる率が高い(低い補足率)④生活が成り立つ段階に至らない(不完全な支援効果)という特徴があることを把握した。若者支援策は権利保障に立つ普遍型ではなく非権利保障に立つターゲット型となっている。また、低い民間委託費のために支援人材が育たず人材不足に直面している。近年価格競争入札によるビジネス化の傾向もあり、権利としての若者保障が確立せず、時間とともに風化しかねないことが危惧される状態にある。
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女性に対する暴力の実態把握と科学的妥当性・信頼性の高い被害者調査の創出
日本学術振興会
科学研究費助成事業
津島 昌弘, 浜井 浩一, 津富 宏, 辰野 文理, 新 恵里, 上田 光明, 我藤 諭, 古川原 明子, 平山 真理
2015年4月
-
2018年3月
課題番号:15H01922
配分額:18720000円
(
直接経費:14400000円
、
間接経費:4320000円
)
EUの女性に対する暴力被害調査を踏襲した本調査は、近畿圏在住の女性を対象に、2016年に実施された。重大な発見は、日本では、加害者が非パートナーの場合、一定程度の女性が被害を警察に通報しているが、加害者がパートナーの場合、警察に通報した女性は皆無であった(EUでは加害者がパートナーと非パートナーとでほとんど差がない)ことである。これは、日本では、DVや親密圏で起こった暴力は表面化しにくいことを示唆している。家族や地域が弱体化するなか、親密圏で起きた当事者間の紛争解決において、公的機関の介入が不可避となっている。近隣の人が異変を見つけたなら、警察や支援団体に相談することが重要である。
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薬物依存症に対する社会内治療プログラムの開発
日本学術振興会
科学研究費助成事業
原田 隆之, 津谷 喜一郎, 津富 宏
2014年4月
-
2017年3月
課題番号:26380947
配分額:4680000円
(
直接経費:3600000円
、
間接経費:1080000円
)
わが国では薬物依存はもっぱら犯罪として取り扱われ,社会内における治療はきわめて限定的であった。本研究では,医療機関や自助グループなど社会内において実施できる薬物依存治療プログラムを開発するものである。
プログラム開発に当たっては,これまで開発した刑事施設内における治療プログラムである日本版マトリックスプログラム(J-MAT)を元に,社会内での実施可能性や薬物依存症者のニーズを考慮して,新たに認知行動療法に基づく治療プログラムを開発した。
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労働市場から排除された若者を支援する政策手法とその評価に関する国際比較研究
日本学術振興会
科学研究費助成事業
宮本 みち子, 長須 正明, 樋口 明彦, 平塚 眞樹, 津富 宏, 西村 貴之, 新谷 周平
2010年4月
-
2014年3月
課題番号:22330151
配分額:17160000円
(
直接経費:13200000円
、
間接経費:3960000円
)
現代における若者のリスクは、教育から労働市場への移行の困難として表現されてきたが、それは特定の階層に集中している。これらの若者は家庭・学校・職場のいずれにおいても不利な立場で連鎖的に社会から排除されている。
日本・オランダ・オーストラリア・イギリス・フィンランドの国際比較から日本の特徴をみると、若者の自立を担保する社会保障制度は極めて弱体である。社会的に孤立し就労困難な若者の増加に歯止めをかけるためには、所得保障と就労支援サービスのセット、教育・福祉・労働・保健医療制度の連携が必要である。ターゲットを絞った支援サービスだけでなく、若者の社会参加とエンパワメントを若者政策に位置づけるべきである。
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覚せい剤受刑者に対する薬物渇望統制のためのコーピングスキル訓練プログラムの開発
日本学術振興会
科学研究費助成事業
原田 隆之, 津富 宏, 津谷 喜一郎
2010年4月
-
2014年3月
課題番号:22530754
配分額:3770000円
(
直接経費:2900000円
、
間接経費:870000円
)
本研究では,覚せい剤事犯受刑者の薬物再使用のリスク要因である薬物渇望に焦点を当て,米国で開発された覚せい剤依存治療プログラムであるマトリックス・プログラムを参考にして,日本版マトリックス・プログラム(J-MAT)を開発した。刑務所において受刑者60名を対象に,最も厳密な効果検証の方法であるランダム化比較試験を実施し,その効果を検討したところ,治療プログラムを受講した受刑者のコーピングスキルが有意に改善されたことがわかった。このことから,J-MATの有効性が示唆された。
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個人情報保護に対応した犯罪被害調査の開発に関する研究
日本学術振興会
科学研究費助成事業
津島 昌弘, 浜井 浩一, 津富 宏, 辰野 文理
2010年
-
2012年
課題番号:22243006
配分額:21060000円
(
直接経費:16200000円
、
間接経費:4860000円
)
本研究の目的は、現代社会に対応した新たな犯罪被害調査を開発し、科学的根拠に基づいた刑事政策の基盤となる統計資料を提供することにある。従来の訪問式の全国調査の結果と比較検討することによって、犯罪被害調査を目的としたインターネット調査の可能性と限界を探った。その結果、犯罪被害率(自動車関連の窃盗)のように、数%の小さな差異を比較するツールとして、インターネット調査を訪問留置調査の代替として使用することは、現時点においては適切ではないことがわかった。また、この犯罪被害調査は、EUのTrustinJusticeプロジェクトの日本調査に位置づけられる。
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妊娠期からの早期育児支援プログラム:アジア2カ国での科学的効果検証
日本学術振興会
科学研究費助成事業
後藤 あや, 津富 宏, 鈴木 友理子, 安村 誠司, 山崎 幸子, 川井 巧, 橋本 万里, 佐々木 瞳
2009年
-
2011年
課題番号:21689019
配分額:6890000円
(
直接経費:5300000円
、
間接経費:1590000円
)
早期育児支援プログラムを開発する国際共同研究を、基礎資料の収集と併せて、福島県内自治体とホーチミン市医科薬科大学関連病院との協働で実施した。オーストラリアの産前モデルプログラムを両国に適応し、試験的実施を行い、実行可能性と受容を確認した。また、カナダの産後モデルプログラムを両国に適応し、日本では短期的な育児・心理指標の改善と長期的な継続支援の必要性を、ベトナムでは実行可能性と受容を明らかにした。
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社会的経済セクターを通じた若者の社会的包摂に関する国際比較研究
日本学術振興会
科学研究費助成事業
宮本 みち子, 長須 正明, 平塚 真樹, 乾 彰夫, 樋口 明彦, 新谷 周平, 西村 貴之, 津富 宏, 乾 彰夫, 長須 正明, 樋口 明彦, 新谷 周平
2007年
-
2009年
課題番号:19330110
配分額:17940000円
(
直接経費:13800000円
、
間接経費:4140000円
)
成人期への移行に困難を抱えている若者層の実態と社会政策を国際比較で明らかにした。この目的をもって欧州およびオセアニアを中心に海外調査を実施した。その実態と比較しながら、日本の労働市場でもっとも不利な状態に置かれた若者にとって2000年代の"若者支援施策"が有効であったかどうかを批判的検討した。その中で、包括的支援システムの構築の必要性と移行的的労働市場の可能性を探った
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割れ窓理論の犯罪抑止効果の実証研究
日本学術振興会
科学研究費助成事業
津富 宏
2005年
-
2007年
課題番号:17653048
配分額:3300000円
(
直接経費:3300000円
)
割れ窓理論によると、町のわすかな「秩序の乱れ(例えは、落書きや放置された建物なと)」が地域住民の不安・無力感を喚起し、地域に対する働きかけが減少することで、より重大な犯罪を引き起こすとされる。本研究は、静岡県のある2地域において、割れ窓理論に基づく介入(清掃およびパトロール活動)を各地域4ヶ月弱ずつ時期をずらして実施し、その効果を比較した日本で初めての分析である。
研究最終年度の本年度は、これまでの研究で得たデータの分析を行った。主な分析内容と結果は以下の通りである。
1.各地域への介入の効果をオッズ比により検討した。分析結果から、(1)全刑法犯に対しては介入の効果は無いかあるいは逆効果がありえる、(2)屋内刑法犯に対しては介入の効果がありえる、(3)屋外刑法犯に対しては介入の効果が無いかあるいは逆効果がありえることが明らかになった。ただし、この分析は、統計的有意性検定ではない。
2.次に、犯罪件数の増減が、介入の有無によるものかどうかとの有意性検定を行うため、ログリニア分析を行った。複数のモデルを分析したが、いずれの分析においても、地域のもともとの犯罪発生水準あるいは時期的な変動による有意な影響しか認められず、介入の有無による有意差は認められなかった。
現段階での分析結果から、割れ窓理論に基づく介入(ゴミ拾いや落書き消しなど)は犯罪を有意に減少させるには至らないという知見が得られた。つまり、直接的な犯罪抑止効果は無かった。今後は、間接的な効果に焦点を当ててさらに分析を進めることが課題となる。
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犯罪者・非行者の立ち直り支援
2007年
資金種別:競争的資金
犯罪者・非行者がいかにして立ち直るかを明らかにすることで、よりよい支援を行う
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キャンベル共同計画の日本への適用-実証研究の系統的レビュー・システムの開発-
日本学術振興会
科学研究費助成事業
山田 兼尚, 岩崎 久美子, 津富 宏, 立田 慶裕, 塚原 修一, 河合 久, 島田 貴仁, 菊澤 佐江子
2003年
-
2004年
課題番号:15653070
配分額:3600000円
(
直接経費:3600000円
)
1.メタ・アナラシス、Evidence-based Practice (Policy)およびキャンベル共同計画関連の論文、資料翻訳などからなる下記報告書(A4判 266頁)を研究代表者・分担者が執筆し刊行した。
I エビデンス共有の世界的動き:キャンベル共同計画とコクラン共同計画
1)キャンベル共同計画の概要(津富宏)
2)日本におけるコクラン共同計画のあゆみ-日本のキャンベル共同計画の発展へのアドバイス-(津谷喜一郎)
II キャンベル共同計画と系統的レビュー
1)キャンベル共同計画刑事司法領域の動向(島田貴仁)
2)キャンベル共同計画社会福祉領域の動向(菊澤佐江子)
3)キャンベル共同計画教育領域の動向(岩崎久美子)
III 教育研究におけるエビデンス
1)教育研究における系統的レビューの可能性-先行研究の検討を中心に-(塚原修一)
2)標準プロトコルによる教育学知識の国際的共有化の可能性に関する研究(野村和)
3)実証研究に基づく政策と実践(Evidence based Policy and Practice)を求める社会的背景(岩崎久美子)
4)エビデンスに裏付けられた教育実践を識別する手引きについて(河合久)
5)What Works Clearinghouse (WWC)による、教育における「証拠に基づいた(Evidence-based)」研究の系統的レビューの例の紹介(山田兼尚)
2.キャンベル共同計画で用いるメタ・アナラシスなどの技法を、研究分担者(立田慶裕、岩崎久美子、津富宏)が下記書籍に分担執筆し紹介した。
立田慶裕編著『教育研究ハンドブック』世界思想社 2005年2月刊行
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新しい紛争処理形態についての実証的研究
日本学術振興会
科学研究費助成事業
細井 洋子, 高橋 則夫, 諸沢 英道, 樫村 志郎, 津富 宏, 辰野 文理, 小宮 信夫, 西村 春夫, 富田 信穂
2000年
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2003年
課題番号:12301012
配分額:43600000円
(
直接経費:34900000円
、
間接経費:8700000円
)
4年間の研究成果は以下の点である。
1.新しい紛争処理形態としての「修復的司法」に対する一般の人々の意識を日豪において明らかにした。日本人は修復的司法導入の目的として「再犯防止」を第1にあげたのに対して、オーストラリアの人々は「犯罪の被害者にとって重要である」と考えていることが判明した。
2.オーストラリアは、1997年ごろから各州において「修復的司法」制度を導入してきたが、それが刑事政策(犯罪防止)にとってどのような効果をおさめているかについての評価研究は必ずしも十分なものではない。なかでも首都のACTおよびSAにおいては評価研究が行われてきた。
3.日本は、制度としては導入していないが、一つは少年矯正施設、二つは保護観察、三つはNGOを中心とした対話の会などで試験的に実施されているが、その評価については何もなされていないことが判明した。
4.平成15年11月8日、9日の二日間にわたって行った「公開研究会」は、豪から研究協力者の二人を招き、出席者も100人を超えるほど盛会であった。研究会は第1日目は日豪調査の結果について日豪の研究者が分析を行った。2日目は豪の研究者による特別報告、実務家、被害者自身、研究者による実施プログラムの紹介と課題について広く議論を重ねた。
5.今後、アジア諸国(韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ)について各地の伝統的な文化と近代的な紛争処理の形態との調和・軋轢などについて解明していきたい。
6.わが国において修復的司法を公的に導入すろためにはいろいろな壁があるが、それを克服するために今回の調査では一般人の他に実務家(弁護士、保護観察官、警察官、臨床心理技官)を対象に調査を行ったが、分析については現在進行中である。
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被害者・家族等の参加による少年の再非行防止に関する実証的研究
日本学術振興会
科学研究費助成事業
西村 春夫, 小宮 信夫, 辰野 文理, 細井 洋子, 富田 信穂, 津富 宏, 諸澤 英道
2000年
-
2002年
課題番号:12837004
配分額:3700000円
(
直接経費:3700000円
)
表題にある「被害者・家族等の参加による」とは修復司法のプログラム(以下RJと略す)のことを指す。これは犯罪・非行の被害者,加害者少年,その家族・地域の関係者が集まり,胸襟を開いて会話協議して,「不正義の訴えを相互に聞き届け,自己の存在性を確証した」という感情に基づいて人と人とのあいだに調和を取り戻すところの,犯罪・非行への対処法である。少年司法機関に継続している少年にRJを実施するならば,再非行防止に向けての支援が当面の目標になる。しかし,第一に考えるべきは被害者のニーズの充足であり,被害者が再非行防止の道具にされてはならない。この対処法は従来型の保護処分,刑事処分の精神や実務と異なる。
RJは,現時点では日本の少年司法では公的に制度化されていないし,地域社会における私的なプログラムも希少である。そのなかで,本研究は数少ない実践を事例研究として報告した。また,RJの実際のビデオを非行の少年,少年司法の職員,大学生に見せて再非行防止の効果について判断させたが,圧倒的大多数は効果に肯定的であった。ビデオを見せないで行った市民に対する意識調査でも,意見保留者が3割いる点に留意して否定に対し3倍強が肯定的に答えた。
数多の研究によれば,非行は,外的,内的,多重の要因で起こる複合体である。再非行もそうであると考えられる。ゆえに修復司法を,1〜3回の会話協議により非行が直ちに止まる即効薬とみなすのは誤りである。RJが再非行の防止になる理論的根拠は,ブレイスウェートによれば,1)再統合の恥つけ理論,2)手続きの進め方の正義の理論,3)恥の情動理論,4)反抗・軽蔑の低減理論である。つまり少年にとって外部の権威による防止強制の心的機制を想定するのではなく,会話協議の過程での防止に向けての少年の内発的動機づけを期待するのが特徴である。今後,多くのサンプルにRJを実施した上で実施しないサンプルとの比較分析,多くの事例について再非行に関する追跡研究が望まれる。
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