文学研究科 比較文明学専攻 博士課程後期課程
文学研究科 比較文明学専攻 博士課程前期課程
思想史
精神分析
ラテンアメリカ史
文化研究
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2006年4月 - 現在文学部 文学科 文芸・思想専修 教授
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2006年4月 - 現在文学研究科 比較文明学専攻 博士課程前期課程 教授
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2006年4月 - 現在文学研究科 比較文明学専攻 博士課程後期課程 教授
研究者詳細
2024/10/07 更新
思想史
精神分析
ラテンアメリカ史
文化研究
人文・社会 / 思想史 / ラテンアメリカ思想・文化
人文・社会 / ヨーロッパ史、アメリカ史 / ラテンアメリカ史
人文・社会 / 文学一般 / ラテンアメリカ文学
国名: 日本国
〈周縁〉精神分析考──アルゼンチン精神分析論のために
林みどり
境界を越えて23 41 - 58 2023年3月
身体-領土の潜勢力──五月広場の母たちからNi Una Menosへ
林みどり
福音と世界8 12 - 17 2021年8月
再魔術化する時代:先端テクノロジーと現代ポピュリズムの交差点
林みどり
ポピュリズムとアート 37 - 50 2020年3月
ブレーンストーミングとしての〈ポピュリズムとアート〉
林みどり
ポピュリズムとアート 23 - 40 2019年3月
記憶の時代における想起の政治──アルゼンチンの「記憶の場」と「記憶ミュージアム」
林みどり
ラテンアメリカ研究所所報 ( 47 ) 55 - 72 2019年3月
依存・呼びかけ・受動性──フェミニズムの政治学と攪乱する主体 招待有り
林みどり
アジア太平洋研究 ( 41 ) 159 - 168 2016年11月
Midori Hayashi
XVII Congreso de la Federación Internacional de Estudios sobre América Latina y el Caribe - ACTA vol.33 613 - 619 2016年2月23日
林みどり
境界を越えて ( 15 ) 9 - 24 2015年2月27日
危機の時代のアート──集合的記憶から身体の政治学へ 招待有り
林みどり
『ラテンアメリカ研究所報』39 ( 39 ) 39 - 49 2011年3月31日
管理社会と親密圏──「五月広場の母たち」の政治的ポテンシャリティ 招待有り
林みどり
『ジェンダーフォーラム年報』11 ( 11 ) 85 - 96 2010年3月
〈郊外〉あるいは都市の詩=政治学──コルタサルとベンヤミンを介して 招待有り
林みどり
『郊外(sub-urbia)」と「暴力」─パリ・プラハ・ブエノスアイレス─「越境と多文化」プロジェクト研究報告書』 ( 7 ) 46 - 59 2009年3月
「失踪」──新自由主義と「むき出しの生」、あるいは表象不可能性をめぐる問い──
林みどり
『ジェンダーと表現』 5 - 27 2007年3月
林みどり
『境界を超えて』 ( 7 ) 197 - 211 2007年2月
模倣の文化政治-ラプラタ地域における<他者>の領有をめぐる文化的抗争の分析
林 みどり
『明治大学人文科学研究所紀要』59 117 - 148 2006年3月
眼差しを占拠する―壁画とグラフィティの実践
林 みどり
『立教大学ラテンアメリカ研究所報』 ( 創立40周年記念 ) 79 - 94 2004年10月
History and the Act of Reading
林 みどり
『明治大学教養論集』 ( 381 ) 93 - 103 2004年1月
林 みどり
『明治大学人文科学研究所紀要』52 ( 52 ) 339 - 354 2003年3月
テクストの空白を読む
林 みどり
『民博通信』97 ( 97 ) 12 - 15 2002年6月
〈国民文化〉再考──18世紀から今日までのガウチョの肖像を手がかりに 招待有り
林みどり
『日本=アルゼンチン修好百年記念論文集』 2 - 15 2000年3月
ブエノスアイレスへの道──白人女性売買小論 招待有り
林みどり
『現代思想』27 ( 1 ) 114 - 124 1999年5月
ガウチョの肖像──文化表象をめぐる諸問題 査読有り
林みどり
『清泉文苑』 ( 15 ) 1998年3月
タンゴ・イン・ディアスポラ
林みどり
『ユリイカ』 ( 10 ) 53 - 57 1997年10月
「ジェンダーと表象の歴史学」 招待有り
林みどり
『アメリカ史研究』 36 - 41 1997年8月
「精神分析前夜 -<ポストコロニアル・ブエノスアイレス>の構築」
林みどり
『現代思想』24 ( 12 ) 162 - 177 1996年4月
「グランジ -コロニアル・ディスコース再読」
林みどり
『現代思想』21 28 - 50 1996年4月
B・リー、D・ガオンカル、酒井直樹「カルチュラル・スタディーズの現在」
葛西弘隆, 浜邦彦, 林みどり
思想 ( 859 ) 108 - 138 1996年1月
「歴史叙述における境界概念——アルゼンチンのフロンティア史への認識論的アプローチ」
林みどり
『東と西』 ( 13 ) 124 - 144 1995年5月
「新しい歴史叙述を模索する——対話・引用とずらし・詩的制作」
林みどり
『未來』 ( 343 ) 1995年4月
林みどり
『イベロアメリカ研究』17 ( 1 ) 61 - 72 1995年4月
「歴史叙述と<法外なもの>の在り処 -19世紀アルゼンチン思想における自己領有の問題」
林みどり
『思想』 ( 851 ) 45 - 65 1995年4月
アルフレド・ロペス=アウスティン「古代ナワの死をめぐる信仰」
林みどり
『季刊Iichiko』 ( 26 ) 86 - 105 1993年1月
「〈南〉—非在と現在」
林みどり
『季刊Iichiko』 ( 22 ) 51 - 63 1992年1月
カルロス・モンシバイス「エッセイにみるオクタビオ・パス」
林みどり, 阿波弓夫
季刊Iichiko ( 18 ) 56 - 73 1991年1月
「オリエンタリズム」
林みどり
『地域研究ブックレヴュー』 ( 7 ) 92 - 114 1990年7月
スサナ・カート「『迷路のなかの将軍』を語る」
林みどり
季刊Iichiko ( 12 ) 14 - 57 1989年7月
"Sarmiento y Fukuzawa: los perfiles de la modernización" 査読有り
Midori Hayashi
『地域研究』 ( 6 ) 107 - 123 1988年12月
エルネスト・サバト──黙示録的時代の希望 招待有り
林みどり
新日本文学40 ( 40 ) 63 - 72 1985年11月
ケア・コレクティヴ『ケア宣言』
林みどり
図書新聞 ( 3527 ) 2022年1月22日
グアダルーペ・ネッテル『赤い魚の夫婦』
林みどり
図書新聞 ( 3525 ) 2022年1月1日
ソル・ケー・モオ『女であるだけで』 招待有り
林みどり
図書新聞 ( 3451 ) 4 - 4 2020年6月13日
瑞々しい詩女神の霊感──ソル・フアナ・イネス・デ・ラ・クルス『抒情詩集』 招待有り
林みどり
図書新聞 ( 3357 ) 2018年6月30日
ふたつの〈世界〉の狭間を/で考える──Cuba Sentimentalと『革命 キューバの民族誌』をめぐって
林みどり, 田沼幸子
ラテンアメリカ研究所報 ( 46 ) 16 - 28 2018年3月31日
ポスト=ポストモダン人類学の可能性に向けて
林みどり
ラテンアメリカ研究所報 ( 46 ) 29 - 33 2018年3月31日
Senso ni Kosuru: Kea no rinri to heiwa no koso (Against War: The Ethics of Care and a Vision for Peace) 招待有り 査読有り
Midori Hayashi
Social Science Japan Journal 2017年1月
弘末雅士『人喰いの社会史──カンニバリズムの語りと異文化共存』 招待有り
林みどり
史苑76 ( 1 ) 176 - 181 2015年2月
ディオニュソス的な力の時代の証言者──A・エステバン/S・パニチェリ著『絆と権力』 招待有り
林みどり
図書新聞 ( 2997 ) 2011年1月15日
「群島詩人の十字路」今福龍太編『アルフレッド・アルテアーガ+高良勉詩選』 招待有り
林みどり
すばる 2010年3月
ラテンアメリカ文学の現況と翻訳・研究08
林みどり
文藝年鑑 2009年6月
マルコス・アギニス『マラーノの武勲』 招待有り
林みどり
図書新聞 ( 2920 ) 2009年6月
柳原孝敦『ラテンアメリカ主義のレトリック』 招待有り
林みどり
ラテンアメリカ学会会報 2008年7月
ラテンアメリカ文学の現況と翻訳・研究07
林みどり
文藝年鑑 2008年6月25日
Silvana Paternostro,In the Land of God and Man 招待有り
林みどり
学燈 ( 7 ) 1999年7月
越境する宗教史(下巻)
久保田浩, 鶴岡賀雄, 林淳, 深澤英隆, 細田あや子, 渡邊和子( 担当: 共著 , 範囲: 越境する知と〈心的なもの〉の誘惑(401-424頁))
リトン 2020年12月
『文化接触の創造力』
久保田浩( 担当: 共著 , 範囲: トランスカルチュレーションの誕生──フェルナンド・オルティスと未来形の語り)
リトン 2013年4月5日
『ジェンダー研究の現在──性という多面体』
新田啓子( 担当: 共著 , 範囲: 幽霊的なものの召喚──フアン・ヘルマンとトラウマの詩)
立教大学出版会 2013年3月30日
『バッカナリア』
沓掛良彦, 阿部賢一( 担当: 共著 , 範囲: 「陶然の記憶──先スペイン期から現代まで」)
成文社 2012年3月
『津波の後の第一講』
今福龍太, 飼哲( 担当: 共著 , 範囲: 「震災とトラウマのことば」)
岩波書店 2012年2月28日 ( ISBN:9784000014052 )
『哲学・社会・環境』(シリーズ「21世紀への挑戦」第1巻)
山之内靖, 島村賢一( 担当: 共著 , 範囲: 「生の管理と情動のコミュニケーション」)
日本経済評論社 2010年7月
『芸術は何を超えていくのか?』
沼野充義( 担当: 共著 , 範囲: 「文学は世界の闇をどのようにとらえるのか」)
東信堂 2009年3月
『ラテンアメリカの教育改革』
牛田千鶴( 担当: 共著 , 範囲: 「本を読む労働者」)
行路社 2007年3月
『アメリカの光と闇』
共著( 担当: 共著 , 範囲: 「身体の空白をめぐる記憶のかたち──記念碑・メディア・文書館」pp.235-255.)
御茶の水書房 2005年1月1日
『ラテンアメリカの女性群像』
加藤隆浩, 高橋博幸( 担当: 共著 , 範囲: 「エバ・ペロン——神話化あるいは絡みあう集合的記憶」)
行路社 2003年1月1日
『歴史が書きかえられる時』(シリーズ「歴史を問う」第5巻)
上村忠男( 担当: 共著 , 範囲: 「〈接触領域〉からの歴史」)
岩波書店 2001年1月1日
『接触と領有―ラテンアメリカにおける言説の政治』
林 みどり( 担当: 単著)
未來社 2001年1月1日
『ラテンアメリカ─統合圧力と拡散のエネルギー』(シリーズ「「南」から見た世界」第5巻)
木畑洋一他( 担当: 共著 , 範囲: 「歴史的拘束の意味—観光・文学・映画の政治」)
大月書店 1999年4月
『文化の未来─開発と地球化のなかで考える』
川田順造, 上村忠男( 担当: 共著 , 範囲: 「〈ネイティヴ〉のイメージ—構成される国民的アイデンティティ」)
未來社 1997年4月
『19世紀民衆の世界』
歴史学研究( 担当: 共著 , 範囲: 「ラテンアメリカにおける権力と民衆」)
青木書店 1993年4月
アルゼンチン精神分析の歴史行為性──政治・文学・複数性
林みどり
日本ラテンアメリカ学会大会 2023年6月3日
記憶ミュージアムの「語り」の構造
林みどり
日本ラテンアメリカ学会東日本部会 2019年3月23日 日本ラテンアメリカ学会
〈記憶〉を展示する:ポスト移行期における「博物館化」と想起 国際会議
林みどり
日本ラテンアメリカ学会大38回定期大会 2017年6月3日 日本ラテンアメリカ学会
侵犯と創造──近代文学は人の移動をどのように描いてきたか 招待有り 国際会議
林みどり
人文知のトポスII──人の移動・文化・精神 2017年3月4日 就実大学吉備地方文化研究所
ポスト軍政期アルゼンチンにおける集合的記憶の社会的構築
林みどり
日本ラテンアメリカ学会第37回定期大会 2016年6月4日 日本ラテンアメリカ学会
岡野八代の仕事──法・シティズンシップの政治学からケアの政治学へ 招待有り
林みどり
傷・身体・反暴力の政治思想──岡野八代の著作をめぐって 2016年2月22日 成蹊大学アジア太平洋研究センター
Estrategias representativas de "lo irrepresentable" frente a los acontecimientos al limite: los casos argentino y japones 国際会議
Midori Hayashi
XVII Congreso de FIEALC 2015年8月25日 Federacion Internacional de Estudios sobre America Latina y el Caribe
身体の記憶・憑依する記憶─芸術は暴力の歴史をどう記憶するか 招待有り
林みどり
グローバル時代におけるアメリカン・リベラルな個人像の脱主体化にむけて──フェミニズム/ケア/母的文化 2015年1月23日 同志社大学アメリカ研究所
「鏡のヘテロトピア──"Identidad"究極の強制失踪者たちへ」
林みどり
〈異他なる場所〉(ヘテロトピア)へ──映像・景観・詩 2014年11月22日 立教大学文学部文学科比較文明学専攻
「社会科学の枠を超えて」
林みどり
山之内靖の仕事 総力戦からグローバリゼーションへ 2014年7月12日 フェリス女学院大学国際交流研究科
「裂傷の記憶、〈不在〉の顕現」
林みどり
第41回現代のラテンアメリカ 2010年11月6日 ラテンアメリカ研究所
「和解・人権・記憶──アルゼンチンの民主化過程を事例に」
林みどり
立教大学平和コミュニティ機構シンポジウム「記憶と和解」 2010年1月21日 立教大学平和・コミュニティ研究機構
「親密圏の政治について考えてみませんか?」
林みどり
ジェンダーセッション 2009年12月10日 立教大学ジェンダーフォーラム
「記憶の文化政治──南米アルゼンチンの場合」
林みどり
立教大学平和コミュニティ機構セミナー 2009年11月17日 立教大学平和コミュニティ機構
「アルゼンチンの人権運動におけるジェンダーの機能」
林みどり
日本ラテンアメリカ学会第30回定期大会 2009年6月7日 日本ラテンアメリカ学会
「21世紀の口──フリオ・コルタサル再読」
林みどり
「郊外」suburbiaと「暴力」──パリ、プラハ、ブエノスアイレス 2008年7月5日 日本学術振興会「人文・社会科学振興のためのプロジェクト」研究領域V-1
「「記憶の文化」と失踪者──アルゼンチンにおけるメモリアル、アート、証言の現在」
林みどり
日本ラテンアメリカ学会第29回定期大会 2008年6月8日 日本ラテンアメリカ学会
「世紀末のバイオポリティクス」
林みどり
日本ラテンアメリカ学会第18回定期大会 1997年6月8日 日本ラテンアメリカ学会
「〈ネイティヴ〉のイメージ」
林みどり
東京外国語大学公開シンポジウム 1997年3月15日 東京外国語大学
「病理というメタファ」
林みどり
日本ラテンアメリカ学会第16 回定期大会 1995年6月18日 日本ラテンアメリカ学会
「サルミエントとアルゼンチン農業」
林みどり
サルミエント没100年記念シンポジウム 1988年9月17日 南山大学ラテンアメリカ研究センター
歴史学研究会編『南北アメリカ 先住民の世界から一九世紀まで』 その他
Encyclopedia of Contemporary Japanese Culture(Routledge) その他
『世界民族事典』(弘文堂) その他
『週刊朝日百科・世界の文学』(朝日出版社) その他
大いなる南部(NHK出版) その他
タンゴの歌詞がアールデコの壁に染みついた街——ブエノスアイレス『湘南文化』No.1 その他
タンゴの歌詞がアールデコの壁に染みついた街??ブエノスアイレス『湘南文化』No.1 その他
ポスト民主化移行期における「想起の文化」──南米における「記憶」の変容
日本学術振興会 科学研究費助成事業
林みどり
2017年4月 - 現在
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
本研究は、1980年代の民主化移行期からポスト移行期に入りつつあるアルゼンチンやチリにおいて、軍政時代に ついての「文化的記憶」がどのような「想起の政治」のダイナミズムのなかで生成し、いかなる共同想起の実践 として近年出現しつつあり、どのような論争の位相にあるのかを、アスマンの記憶論をはじめとする近年の記憶 研究の成果を用いて解明する。ローカルな集合的記憶形成と共同想起の営みを個別具体的事例において明らかに すると同時に、グローバルな記憶言説とどのように切り結び、言説の領有や交渉過程で何が生みだされ何が隠蔽 されるかを明らかにする。また共同想起の営みにおいて、自己同一性に帰着するアイデンティティ・ポリティク スを批判的に照らし出す「想起の文化」のあり方を考察する。
アルゼンチンの精神分析受容に関する思想史研究─ペロニズム・軍政・大衆的受容を軸に
日本学術振興会 科学研究費助成事業
林 みどり
南米におけるトラウマ的記憶の「商品化」
日本学術振興会 科学研究費助成事業
林みどり
2013年4月 - 2017年3月
課題番号:25370095
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
本研究は、南米諸国におけるトラウマ的な人権侵害の記憶が、いかなる過程を経て社 会的に認知され、文化的な「市場」で流通し、消費されてきたかを、ミュージアムや記念碑といった「記憶の 場」、映画製作や出版などの文化産業、新たな研究領域("historia reciente"=1960年代から現在までの現代 史研究)の確立過程の分析を通じて明らかにした。アルゼンチン、チリ、ウルグアイの比較検討を通じて、" historia reciente"の歴史的な語りの構造を明らかにし、いかなる集合的な文化的記憶として構築=再構築されてきたかを分析した。
記憶の継承と可傷性の倫理─アルゼンチン人権運動への思想的アプローチ
日本学術振興会 科学研究費助成事業
2010年4月 - 2013年3月
資金種別:競争的資金
1976年〜83年のアルゼンチンの軍事独裁政権の権威主義体制は、社会を構成する最も基本的な連帯の絆を破壊することを統治戦略の主軸とした。それゆえに現地の人権運動は、まず第一に政治的倫理の回復を自らの運動の軸とし、生への権利や社会的な紐帯の回復を要求した。アルゼンチンの人権運動が、政治や社会のみならず文化の領域でもきわめて大きな影響力をもっているのは、倫理、身体、絆といった、人間の根源的な存在様態への問いかけに、絶えず立ちもどろうとしてきたからなのである。本研究は、アルゼンチンの政治・社会的な状況のもとで独自の展開をみせてきた人権運動の言説構造を明らかにし、それが民主主義的な社会構成のプロセスや現地の文化状況にいかなる影響を及ぼし、また問題提起を行っているかを検証する。
暴力の記憶と反ネオリベラリズム──南米におけるアフェクトの政治
日本学術振興会 科学研究費助成事業
2007年4月 - 2010年3月
資金種別:競争的資金
他のラテンアメリカ諸国に先駆けて新自由主義的政策の打撃を被り、「失われた10年」を経験したアルゼンチンを中心に、(1)ポスト軍政期のアルゼンチン社会において、軍事政権下で行われた熾烈な人権抑圧に関する集合的記憶と、その後の民主化時代における反ネオリベラリズム運動を支える言説がどのような関係性をとりむすんできたか、(2)民政移管後の25年間で、制度的暴力を記憶するための文化的装置が、どの時期にいかなる領域で構成され、機能してきたかを明らかにする。
「伝統と越境──とどまる力と越え行く流れのインタラクション」第2グループ「越境と多文化」
日本学術振興会 日本学術振興会「人文・社会科学振興のためのプロジェクト」研究領域V-1
ネオリベラリズムと戦争の変容(代表 西谷修)
日本学術振興会 科学研究費助成事業
翻訳とトランスカルチュレーション
科学研究費助成事業
2003年4月 - 2005年3月
資金種別:競争的資金
非ヨーロッパ世界にあってヨーロッパ移民によって大衆社会が構成されたラプラタ世界を対象に、早熟なモダニズムが出現しつつあった20世紀前半の社会文化現象を、「文化の翻訳」と「トランスカルチュレーション」の現象としてとらえなおす。すなわち、世紀初頭のラプラタの都市空間にあって、移民大衆が土着主義的なものを模倣しつつ、従来とは異なる異種混淆の文化的表現を創りあげるにいたったプロセスを、トランスカルチュレーションの過程としてとらえなおす。そのことをつうじて、異種混淆の文化的表現が創りあげられるに至ったプロセスと、その過程で生じた文化的抗争の諸相を思想史的な観点から析出しようとする。
ネオ・リベラリズムと戦争の変貌
日本学術振興会 科学研究費助成事業
西谷 修, 中山 智香子, 大川 正彦, 林 みどり, 安村 直己, 阿部 賢一, 米谷 匡史, 蕭 幸君, 上村 忠男
2003年 - 2005年
課題番号:15320016
配分額:9200000円 ( 直接経費:9200000円 )
本研究の課題は、グローバル化として語られる世界変容を、ネオ・リベラリズムと戦争の変容という二つの軸を立てて解明することだったが、この3年間で、西洋の世界化という歴史的パースペクティヴを背景に、一方で「帝国」概念をニューディールとの隠れた関係から見直して現代の世界秩序の再解釈を図るとともに、9・11以後の「テロとの戦争」の分析から、現代世界における国家・権力・法秩序・暴力等の再編成のありようを追究し、現代の政治思想の諸課題を解明するなどの作業を行った。また、これらを原理的考察として、国家間システムからグローバル秩序への移行にともなう特徴的諸問題が端的に表れる諸地域(ラテン・アメリカ、東欧、東アジア等)に焦点をあて、それらの地域研究をもとにしてテーマを具体化し、ナショナルな歴史の語り、内戦と人間(個の枠の崩壊)、亡命から難民へ(民のステイタスの崩壊)などの問題を掘り下げて、国家秩序の形成と崩壊が社会形成や個人の存立に触れる地点を描き出した。これらの研究成果は本研究課題を標題とする論集として近々出版する予定である。
また当初予定した映像資料等の収集は、研究遂行の過程でグローバル世界のメディアの問題と結びつき、資料を公共化すると同時にそれを軸にした討論をシンポジウムで行うという企画に発展し、H16年度に1度、H17年度に2度の国際シンポジウム(視角の地政学、<人間>の戦場から、グローバル化と奈落の夢)を実施した。その記録の一部は企画を共催した別途資金ですでに刊行され、残りの編集準備も進んでいる。
共同研究の内実と、実施による新たな研究への発展、実践と成果のアクチュアルな公共化(社会還元)等、多くの面で実のある研究が遂行できたと自負している。
都市大衆社会形成初期における文化政治と複合的アイデンティティ
日本学術振興会 科学研究費助成事業