フランス文学
20世紀 フランス文学 ケベック文学
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2023年4月 - 現在外国語教育研究センター 教授
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2020年4月 - 2023年3月外国語教育研究センター 准教授
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2009年4月 - 2014年3月ランゲージセンター(フランス語担当) 教育講師
研究者詳細
2024/10/07 更新
フランス文学
20世紀 フランス文学 ケベック文学
人文・社会 / ヨーロッパ文学
人文・社会 / 文学一般 / マルグリット・デュラス
国名: フランス共和国
国名: 日本国
国名: フランス共和国
国名: 日本国
国名: 日本国
国名: 日本国
Écrire, filmer au défi de la voix : de La Musica au Navire Night 招待有り
Mirei SEKI
Zinbun ( 50 ) 2020年3月
La représentation du bonheur dans les romans des écrivaines au XIXe siècle
Mirei SEKI
言語と文化 ( 40 ) 2019年1月
キム・チュイ作品にみられる相対化されたオリエンタリズム
関 未玲
ケベック研究 ( 10 ) 2018年9月
マルグリット・デュラス―失われた瞬間に触れるエクリチュール
関 未玲
言語と文化 ( 39 ) 2018年7月
La relation possible entre un texte original et sa traduction selon Walter Benjamin et Antoine Berman
Mirei SEKI
言語と文化 ( 37 ) 2017年7月
『ヒロシマ・モナムール』―2つの都市をつなぐ試みとしての日仏映画 査読有り
関 未玲
フランス文学 ( 31 ) 2017年6月
L’après-guerre de Duras ― une écriture de réconciliation avec l’époque
Mirei SEKI
立教大学フランス文学 ( 46 ) 2017年3月
Hiroshima mon amour, histoire construite entre le fictionnel et l’autofictionnel
Mirei SEKI
言語と文化 ( 36 ) 2017年1月
イメージという問題
関 未玲
立教映像身体学研究 ( 4 ) 2016年3月
マルグリット・デュラス連作における冗長的かつ淘汰的美学 査読有り
関 未玲
立教大学フランス文学紀要 ( 第44号 ) 2015年3月
海を見続けた作家 査読有り
関 未玲
立教大学フランス文学紀要 ( 第43号 ) p.19 - p.39 2014年3月
ミレイユ・カル=グリュバー:横断するエクリチュール
関 未玲
立教大学ランゲージセンター紀要 ( 第30号 ) p.55 - p.62 2014年1月
キム・チュイの『小川』における消去という文学的美学 招待有り 査読有り
関 未玲
韓国ケベック研究学会 p.23 - p.36 2013年12月
マルグリット・デュラスのインドシナ連作における『愛』:火事をめぐる物語としての読解
関 未玲
立教大学ランゲージセンター紀要 ( 第30号 ) p.25 - p.30 2013年10月
21世紀の展望と他者論
関 未玲
立教大学ランゲージセンター紀要 ( 第29号 ) p.11 - p.20 2013年1月
映画『ヒロシマ・モナムール』はどう受け止められたのか:広島像をめぐって
関 未玲
立教大学ランゲージセンター紀要 ( 第28号 ) p.15 - p.24 2012年10月
Le problème de l’altérité dans La Douleur de Marguerite Duras
Mirei SEKI
立教大学ランゲージセンター紀要 ( 27 ) 2012年1月
マルグリット・デュラス『苦悩』における他性の問題
関 未玲
立教大学ランゲージセンター紀要 ( 第27号 ) p.73 - p.85 2012年1月
マルグリット・デュラスにおける差異化するエクリチュール(博士論文) 査読有り
関 未玲
パリ第3大学 2011年12月
プラトン、フッサール、ベンヤミン、ドゥルーズをめぐる一考察
関 未玲
立教大学ランゲージセンター紀要 ( 第26号 ) p.61 - p.72 2011年10月
マルグリット・デュラス『ガンジスの女』―映画とエクリチュールの潜在的可能性
関 未玲
立教大学ランゲージセンター紀要 ( 第25号 ) p.31 - p.42 2011年1月
デュラス作品における回帰する海のフィギュール
関 未玲
立教大学ランゲージセンター紀要 ( 第24号 ) p.61 - p.71 2010年10月
マルグリット・デュラス『ヒロシマ、モナムール』―固有名の構築と解体
関 未玲
立教大学ランゲージセンター紀要 ( 第23号 ) p.51 - p.62 2010年1月
マルグリット・デュラス『大西洋の男』における不可視性について―作家が見出したエクリチュールの可能性―
関 未玲
立教大学ランゲージセンター紀要 ( 第22号 ) p.15 - p.23 2009年10月
マルグリット・デュラス『モデラート・カンタービレ』―『反復』と『創造』のエクリチュール 査読有り
関 未玲
現代文学 ( 第76号 ) p.39 - p.56 2007年12月
マルグリット・デュラス『モデラート・カンタービレ』をめぐる考察
関 未玲
立教大学フランス文学紀要 ( 第36号 ) p.31 - p.49 2007年3月
マルグリット・デュラス『インディア・ソングに』における『記憶』と『忘却』について 査読有り
関 未玲
日本フランス語フランス文学会関東支部論集 ( 第15号 ) p.285 - p.297 2006年12月
潜在性のエクリチュール―マルグリット・デュラスの小説における〈拡がり〉―(博士論文) 査読有り
関 未玲
立教大学 2006年3月
潜在性のエクリチュール―マルグリット・デュラスの小説における〈拡がり〉―
関 未玲
立教大学フランス文学紀要 ( 第35号 ) p.55 - p.64 2006年3月
マルグリット・デュラス『かくも長き不在』における空白の再認 査読有り
関 未玲
日本フランス語フランス文学会関東支部論集 ( 第12号 ) p.183 - p.197 2003年12月
『ナタリー・グランジェ』における映画の試み
関 未玲
立教大学フランス文学紀要 ( 第31号 ) p.75 - p.91 2002年3月
『マルグリット・デュラスにおける非人称的共同体』
関 未玲
立教大学フランス文学紀要 ( 第30号 ) p.69 - p.83 2001年3月
マルグリット・デュラスにおける非人称的共同体(DEA論文) 査読有り
関 未玲
パリ第8大学 2000年9月
マルグリット・デュラスにおける三人称の問題
関 未玲
立教大学フランス文学紀要 ( 第29号 ) p.159 - p.171 2000年3月
デュラス的エクリチュールをめぐる考察(修士論文) 査読有り
関 未玲
立教大学 1999年3月
ボーヴォワールの小説におけるナラトロジー分析 査読有り
関 未玲
1996年3月31日
キム・チュイの『小川』に見られる言語習得と間文化性
関 未玲
外国語教育研究ジャーナル1 119 - 123 2020年12月
立教大学フランス語教育研究室のオンライン授業導入報告
関 未玲
立教大学におけるフランス語教育 オンライン授業への取り組み シンポジウム論集 8 - 10 2020年10月8日
【書評】ダニー・ラフェリエール著『書くこと 生きること』(小倉和子訳)藤原書店、2019年
関 未玲
ケベック研究 ( 12 ) 68 - 72 2020年9月
【シンポジウム】旅、歴史、ポエジー:場所と時間をつなぐもの 趣旨と概要
関 未玲
ケベック研究 ( 12 ) 49 - 52 2020年9月
デュラスをめぐる濃密なひと月 招待有り
関 未玲
ふらんす 2019年2月
「AJEQ第10回全国大会に向けて」寄稿 招待有り
関 未玲
日本ケベック学会ニュースレター ( 25 ) 2018年7月
国際フランコフォニー学会 第32回世界大会参加報告 招待有り
関 未玲
日本ケベック学会ブログ 2018年6月
マルグリット・デュラス研究の現在 招待有り
関 未玲
PLEU-PLEU ( 29 ) 2018年3月
情熱的な狂気を求めて 招待有り
関 未玲
Lingua ( 11 ) 2017年6月
マルグリット・デュラス没後10周年企画シンポジウム概要 招待有り
関 未玲
立教映像身体学研究 ( 6 ) 2017年3月
2人(2匹)の主人公の繰り広げる優しい世界に包まれながらフランス社会をのぞいてみよう! 招待有り
関 未玲
Lingua ( 9 ) 2016年12月
ワークショップ「マルグリット・デュラス没後20周年―21世紀におけるデュラス」概要寄稿 招待有り
関 未玲, 澤田 直, 小川 美登里, 桑田 光平
Cahier ( 18 ) 2016年9月
フランコフォニーについて 招待有り
関 未玲
愛知大学経営学部ブログ 2016年7月
フランコフォニーについて 招待有り
関 未玲
愛知大学経営学部ブログ 2016年7月
フランコフォニーについて 招待有り
関 未玲
愛知大学経営学部ブログ 2016年7月
Mirei SEKI, Midori OGAWA, Yann MÉVEL
Cahier ( 15 ) 2015年3月
ロッシュ・ノワール一〇五号室 招待有り
関 未玲
マルグリット・デュラス―生誕100年 愛と狂気の作家 2014年9月
受講生とともに
関 未玲
大学教育研究フォーラム ( 19 ) 2014年3月
仏検4級対策 !わかって使えることばへの一歩(連載) 招待有り
関 未玲
ふらんす 2014年
2013年度ACEQ大会参加報告 招待有り
関 未玲, 仲村 愛
日本ケベック学会ブログ 2013年11月
マルグリット・デュラス 声の〈幻前〉—小説・戯曲・映画
関 未玲, 森本 淳生他( 担当: 単著)
水声社 2020年3月
Marguerite Duras à la croisée des arts
Mirei SEKI, Michelle Royer他( 担当: 単著)
Peter Lang Publishing 2019年7月
Marguerite Duras : Passages, croisements, rencontres
Mirei SEKI, Olivier Ammour-Mayeur 他( 担当: 共著)
Éditions Classiques Garnier 2019年4月
フランス語ほんとうに必要なところをまとめました
関 未玲( 担当: 単著)
ベレ出版 2018年11月
サ・マルシュ?
関 未玲, 小倉 和子, 石川 文也( 担当: 共著)
駿河台出版社 2018年2月
Culture&actualité
関 未玲, 久保田, 剛史( 担当: 共著)
朝日出版社 2018年1月
フランス語そのまま使えるフレーズブック
関 未玲, 久松健一, 富塚真理子( 担当: 共著)
白水社 2016年4月
Mireille Calle-Gruber : L’amour du monde à l’abri du monde dans la littérature
Mirei SEKI, Melina Balcazar, Morenol 他( 担当: 共著)
Hermann 2015年10月
Orient(s) de Marguerite Duras
Mirei SEKI, Yann, Mével 他( 担当: 共著)
Éditions Rodopi 2014年6月
フランスの今
関 未玲, オーレリアン・サバティエ他( 担当: 共著)
駿河台出版社 2014年3月
『世界女性事典』
ベアトリス・ディディエ, アントワネット・フク, ミレイユ=カル・グリュベール編( 担当: 分担執筆)
Éditions des femmes(フランス)全3巻、ユネスコ後援 2013年11月
カトリーヌとパリの四季
関 未玲, 玉田 敦子, 高橋 愛( 担当: 共著)
駿河台出版社 2010年4月
パリ&フランス語
関 未玲, 大磯 仁志他( 担当: 共著)
学習研究社 2004年4月
デュラス、声を巡るエクリチュールの試み―声の現前と不在の間で 招待有り
関 未玲
人文研アカデミー2018・シンポジウム「マルグリッド・デュラス 声の<幻前>―小説・戯曲・映画」 2018年12月 京都大学人文研アカデミー
Le défi de l’écriture pour sauver la parole silencieuse des subalternes 招待有り 国際会議
Mirei SEKI
Colloque SIMD : Marguerite Duras. Une critique de la raison 2018年11月 Société internationale Marguerite Duras
ケベック社会とキム・チュイ作品における間文化性について
関 未玲
総合社会科学会大会 2018年7月 総合社会科学会
Une écriture transculturelle : la relativisation de l’orientalisme chez Kim Thúy 国際会議
Mirei SEKI
CIEF(国際フランコフォニー学会)第32回世界大会 2018年6月 CIEF(国際フランコフォニー学会)
キム・チュイ作品にみられる相対化されたオリエンタリズム
関 未玲
日本ケベック学会全国大会 2017年10月 日本ケベック学会
ヒロシマ―ヌヴェール、二つの都市をつなぐ試みとしての日仏映画 招待有り
関 未玲
シンポジウム『ヒロシマ・モナムール』 : トポスとしてのヒロシマ 2016年11月 日本フランス語フランス文学会中国・四国支部
La représentation du bonheur dans les romans des écrivains femmes au XIXe siècle
Mirei SEKI
日本フランス語フランス文学会秋季大会 2016年10月 日本フランス語フランス文学会
L’influence interdisciplinaire des ouvrages durassiens entre l’écriture, le cinéma et le théâtre 国際会議
Mirei SEKI
Colloque international "Marguerite Duras et les Arts" 2016年6月 Société internationale Marguerite Duras
L’après-guerre de Duras 招待有り
Mirei SEKI
「文学・映像・戦争・政治《20世紀フランス文学は語る》―マルグリット・デュラスを中心に」 2016年3月 立教大学
Duras et le Japon 招待有り 国際会議
Mirei SEKI
French Theory au Japon 2016年3月 Collège international de philosophie
La relation possible entre un texte original et sa traduction 招待有り 国際会議
Mirei SEKI
colloque international "Recherche et traduction" 2015年10月 中華人民大学外国語学院(北京)
Hiroshima mon amour, histoire reconstruite à partir de la collaboration cinématographique ― le fictionnel et l’autofictionnel dans l’œuvre artistique 国際会議
Mirei SEKI
Le Mythe Duras Cent ans sans temps 2014年11月 上海華東師範大学
L’évolution stylistique des œuvres durassiennes ― avant et après Hiroshima mon amour
Mirei SEKI
日本フランス語フランス文学会秋季大会 2014年10月 日本フランス語フランス文学会
Duras et la pensée contemporaine ― une demande de l’époque 国際会議
Mirei SEKI
Marguerite Duras : Passages, croisements, rencontres 2014年8月 Société internationale Marguerite Duras
L’esthétique répétitive mais soustractive dans les cycles de Marguerite Duras 招待有り
Mirei SEKI
マルグリット・デュラス生誕100周年国際シンポジウムー書くためにと彼女は言う― 2014年3月 立教大学フランス文学専修(創立50周年関連企画)
L’esthétique littéraire de la soustraction dans Ru de Kim Thúy 招待有り 国際会議
Mirei SEKI
Colloque de l’Association Coréenne d’Études Québécoises 2013年10月 L’Association Coréenne d’Études Québécoises
Expériences de mutations intérieures et interactives à travers une lecture de Mireille Calle-Gruber 国際会議
Mirei SEKI
Mireille Calle-Gruber ou les promesses de la littérature et des arts 2013年6月 Sorbonne nouvelle Paris 3
海を見続けた作家 招待有り
関 未玲
立教大学フランス語フランス文学会第2回大会 2013年6月 立教大学フランス語フランス文学会
La réception de Hiroshima mon amour au Japon 国際会議
Mirei SEKI
デュラス協会国際シンポジウム 2009年9月 デュラス協会
マルグリット・デュラス『ヒロシマ・モナムール』―固有名の構築とその崩壊としてのテクスト
関 未玲
日本フランス語フランス文学会秋季大会 2008年11月
マルグリット・デュラス『かくも長き不在』―テレーズという表象をめぐって
関 未玲
日本フランス語フランス文学会関東支部大会 2008年3月 日本フランス語フランス文学会関東支部
マルグリット・デュラスにおける『記憶』と『忘却』のエクリチュール
関 未玲
日本フランス語フランス文学会春季大会 2007年5月
マルグリット・デュラス『大西洋の男』をめぐる可視性と不可視性について
関 未玲
日本フランス語フランス文学会関東支部大会 2007年3月 日本フランス語フランス文学会関東支部
マルグリット・デュラス『モデラート・カンタービレ』―問うこととしての物語
関 未玲
日本フランス語フランス文学会春季大会 2006年5月 日本フランス語フランス文学会
マルグリット・デュラス『インディア・ソング』における『記憶』と『忘却』について
関 未玲
日本フランス語フランス文学会関東支部大会 2006年3月 日本フランス語フランス文学会関東支部
マルグリット・デュラス論 エクリチュールの『裂け目』としての青い目
関 未玲
日本フランス語フランス文学会春季大会 2004年5月 日本フランス語フランス文学会
マルグリット・デュラス『かくも長き不在』における空白の再認
関 未玲
日本フランス語フランス文学会関東支部大会 2003年3月 日本フランス語フランス文学会関東支部
マルグリット・デュラス―映画制作からエクリチュールへ」 (Webサイトへの寄稿) その他
2つの国、2つの時代を結ぶ女性たち その他
フランス語学習用のホームページの作成・監修 その他
フランス語参考書「フランス語をひとつひとつわかりやすく。」の校閲 その他
共生の文学
1997年4月
資金種別:競争的資金
これまで、20世紀フランス人女性作家マルグリット・デュラスの作品分析を出発点とし、同時代の思想(哲学・言語学・女性学)や歴史研究など、デュラスを理解する上で欠かすことのできない観点に視野を拡大する形で研究を発展させてきた。作品を分析するなかで、ヴェトナム出身のフランス人という彼女が経験した「他文化」との拮抗、あるいは「他者」そのものといかに共存してゆくことができるのかという、作家特有の新たな問題点も明らかとなってきた。
上記の問題意識を出発点に、さらに現在国際社会が抱える他文化との共生の可能性を模索する課題にひきつけ、検討を行った。すでに21世紀に入り、デュラス作品を文学という狭い枠組みから20世紀の証言として、さらには21世紀の青写真として捉えるような、視点の転換が求められていることは事実である。デュラスの作家人生を振り返れば、かつて無い世界規模の大戦とともに始まり、フランスの高度経済成長からの失墜を経験し、文化人の政治参加が求められたパリ5月革命に参加するなど波乱に満ちた歴史とともにあった。デュラス作品の主題はつねに人物間をめぐる共同体の破綻にあったとも言えるが、しかし彼女のテクストは対話の失敗を扱ったものから、この失敗を受け入れるものへと変貌している。共同体の失敗の核にある「他者」認識を変換することで、「他性」を受け入れる過程を描いたデュラス作品は、現代社会が抱える痛みを先取りした形で暗示していると考えることができるだろう。デュラス作品のなかで描かれる「他性」への問題意識が、いかにして実社会のなかで機能することができるのかを、現代哲学の今日的テーマである共同体論という観点からも詳しくさらに解明してゆきたいと考えている。
文学と実社会との接点を明らかにするというこのような問題意識のもと、具体的には現在、間文化主義を目指すフランス語圏であるケベックの文学活動に注目し、一文化主義→多文化主義→間文化主義→超文化主義へと発展させてきたケベック社会をモデルに、共同体の実践的可能性と問題点について論じた作品の研究を進めている。デュラス同様ヴェトナムで生まれたヴェトナム系カナダ人作家キム・チュイは、デビュー作の『小川』が各国で翻訳されるなど、現在フランス語圏諸国で注目を集めている。中国系ヴェトナム人であったキムは祖国を去ることを余儀なくされ、家族とともにボート・ピープルとしてマレーシアにわたった後に、難民としてケベックに移住したキム・チュイの文体は、文化の違いを明確に強調しながらも、普遍的要素を浮き彫りする、間文化を生きる彼女ならではの特徴を体現していると言える。
デュラスと世代は異なるとしても、同じヴェトナムで生まれ、幼少期を過ごしたキム・チュイの作品を分析することで、東洋と西洋という二つの大きく異なる文化圏を生きた作家固有の問題意識を探り、21世紀私たちが迎える他者との共生について何らかの道標を読み取ることができるのではないかと考える。文学を社会の発展の可能性として論じる新たな試みのなかで、さらに哲学的・社会学的論考へと広げてゆくつもりである。
「作家キム・チュイによるデビュー作「小川」朗読会」の企画・運営・司会・通訳担当
2019年6月
マルグリット・デュラス関連映画上映会後のトークショーに登壇
2018年11月
『アガタ』上映会およびジョエル・パジェス=パンドン氏アフタートーク「マルグリット・デュラス監督作品『アガタ』について」企画・運営・通訳・司会担当
2018年11月
愛知大学公開講座「言語」:フランコフォニーの未来
2017年11月
トークイベント「キム・チュイと出会う」へ登壇し、司会、対談者・解説を担当
2017年9月
« Hiroshima mon amour »上映会トークイベント登壇(フランス)
2016年3月
「マルグリット・デュラス×料理」の企画・鼎談
2016年2月
「日本の現代女性作家」(日本語)/ « Des écrivaines japonaises contemporaines »(フランス語)
2015年11月
マルグリット・デュラスについてマリー・ダリュセックと語ろう
2014年3月