2000年
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2003年
課題番号:12440011
配分額:10800000円
(
直接経費:10800000円
)
本研究では,概均質ベクトル空間のゼータ関数について,(1)関数等式の表現論との関係,(2)保型L関数との関係,(3)非正則空間についての理論の発展,という3つの課題を扱い,次のような成果を得た.
(1)研究代表者は,関数等式を一般線型群の退化主系列表現の間の絡作用素と結びつけることにより,ガンマ行列のオイラー型複素べき積分(一種の$c$関数)表示を得た.さらに,変数変換をWeyl群作用とみなし関数等式を分解するという新しい視点から,これまで計算困難であった律雑な空間の関数等式の解析を行った.また,研究代表者と分担者広中は,p進体上のゼータ関数と球関数の関係に基づいて,Sp(n),GI(n)などのEisenstein級数のFourier係数の積分表示,ある球等質空間の球フーリエ変換論を研究した.
(2)保型L関数との関係では,実解析的Siegel Eisenstein級数に対応するKoecher-Maass級数が,SO(n, n)の放物型部分群の作用するある概均質ベクトル空間のゼータ関数として得られることを明らかにした.この結果は,他の古典群のEisenstein級数にも拡張可能であり,引き続き研究を進めている.分担者斎藤・伊吹山により,ゼータ関数の明示的表示の研究が進み,既約被約正則概均質ベクトル空間の7割以上について,Riemannゼータ関数,CohenのEisenstein級数のMellin変換を用いた明示的表示が得られた.その結果,開軌道の点における等方部分群の構造とゼータ関数の表示との関係について注目すべき現象が観察されている.この現象の意味を型形式の持ち上げとの関連で解明することは,今後の重要な課題である.
(3)非正則空間については,大域的ゼータ関数の一般論の形式的部分の整備を行った.また,分担者行者による実数体上の関数等式の理論の実例計算を行いガンマ行列を決定した。
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